「医療DXでよく聞く”DX加算”とは何なのか?」
「DX加算の条件について詳しく知りたい」
このような悩みを抱えている病院や歯科医院の方も多いのではないでしょうか。最低賃金や物価の高騰によって病院経営に逆風が吹いているのも事実。それらを解消するための手段として「医療DX」があり、それに積極的な医療機関は「DX加算」の対象になります。
本記事では、そもそもDX加算とは何なのか、条件や届出の方法などについて詳しく解説します。
DX加算とは?
DX加算とは、病院がDX化を進めることでポイントが加算され、診療報酬が上がる仕組みです。次では「DX加算」について、もう少し具体的に解説します。
医療業界におけるDX加算は2種類ある
DX加算には、「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」の2種類があります。
医療DX推進体制整備加算
医療DX推進体制整備加算とは、医療機関がデジタル技術を導入することで業務効率化や医療品質アップを図った際にポイントが加算される仕組みです。病院だけでなく歯科医院、薬局などにも適用されます。
デジタル技術の具体例として、電子カルテや電子処方箋、オンライン請求、オンライン資格確認システムなどがあげられます。
医療情報取得加算
医療情報取得加算とは、「オンライン資格確認システム」に特化した加算制度です。同システムによって患者の診療情報や薬剤情報を取得し、品質の高い医療を提供することでポイントが加算されます。
オンライン資格確認システムとは、マイナンバーカードや国民健康保険証に記載された「記号番号」を用いて、患者の資格情報をオンラインで取得する方法です。患者の健診情報や服薬歴などをオンラインで見られるため、より安全で効果的な治療をスピーディーに提供できるようになります。
加算対象になることで病院の診療報酬が増える
上記の「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」に当てはまる施策を行うことで、ポイントが加算され、自院の診療報酬が増えます。
診療報酬とは、医療機関が提供した医療行為やサービスに対して、公的医療保険から支払われる報酬のことです。「1点=10円」として算出されるのが特徴です。たとえば医療DX推進体制整備加算だと、要件に当てはまる施策を行った場合、最大で「11点」が加算されます。
【最新版】医療DX推進体制整備加算の内容
医療DX推進体制整備加算の内容について詳しく解説します。同制度は令和6年10月に改訂されています。
算定要件
医療DX推進体制整備加算における「算定要件」は次のとおりです。
医療DX推進に係る体制として別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合は、医療DX推進体制整備加算として、月1回に限り8点を所定点数に加算する。 |
引用:医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて | 厚生労働省
施設基準
医療DX推進体制整備加算における「施設基準」は次のとおりです。
オンライン請求を行っているオンライン資格確認ができる体制が整っている電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制が整っている(経過措置 令和7年9月30日まで)マイナンバーカードを用いた健康保険証利用実績が一定程度がある医療DXを推進し、それを活用していることを自主的に発信している(院内の見やすい場所またはWebサイトなどで)【医科・歯科】医師(または歯科医師)が、診察室や手術室などにおいて、電子資格確認によって得た診療情報を閲覧または活用できる体制が整っている【医科・歯科】電子処方箋を発行する体制が整っている【調剤】保険薬剤師が、電子資格確認によって取得した診療情報を閲覧または活用し、調剤できる体制が整っている【調剤】電磁的記録をもとに作成した処方箋を受け付ける体制が整っている【調剤】電磁的記録による調剤録および薬剤服用歴の管理の体制が整っている |
参考:医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて | 厚生労働省
加算される点数
算定要件ならびに施設基準を満たした場合、次の点数が加算されます。施設基準をどの程度満たしているかで加算点数が異なるので、注意が必要です。
要件 | 全医療機関 | 歯科 | 調剤 |
---|---|---|---|
加算①施設基準1~5に加えて、・6のマイナンバーカードの保険証利用に「十分」な実績がある・マイナポータルの医療情報に基づいて患者からの健康相談に応じる | 11点 | 9点 | 7点 |
加算②施設基準1~5に加えて、・6のマイナンバーカードの保険証利用に「必要」な実績がある・マイナポータルの医療情報に基づいて患者からの健康相談に応じる | 10点 | 8点 | 6点 |
加算③施設基準1~5に加えて、・6のマイナンバーカードの保険証利用に実績がある | 8点 | 6点 | 4点 |
参考:医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて | 厚生労働省
【最新版】医療情報取得加算の内容
続いて、医療情報取得加算の内容をお伝えします。同制度は令和6年12月に改訂されています。
算定要件
医療情報取得加算には「算定要件」はありません。
施設基準
医療情報取得加算における「施設基準」は次のとおりです。
電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っているオンライン資格確認を行う体制が整っている次の事項を院内の見やすい場所またはWebサイト等に掲示しているオンライン資格確認を行う体制が整っていること患者に対して受診歴や薬剤情報、特定健診情報などを取得・活用して診療を行うこと |
参考:医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直しについて | 厚生労働省保健局医療課
加算される点数
施設基準を満たした場合、次の点数が加算されます。
要件 | 点数 |
---|---|
初診時 | 1点 |
再診時(3月に1回限定で算定) | 1点 |
調剤時(12月に1回限定で算定) | 1点 |
マイナ保険証の利用率に応じて加算点数が異なる

医療機関における「マイナ保険証の利用率」によって、医療DX推進体制整備加算のレベル(加算①、②、③の)が異なります。基準とされるマイナ保険証の利用率は次のとおりです。
医療DX推進体制整備加算のレベル | 利用率実績 |
---|---|
加算①※施設基準1~5に加えて、・6のマイナンバーカードの保険証利用に「十分」な実績がある・マイナポータルの医療情報に基づいて患者からの健康相談に応じる | 45% |
加算②※施設基準1~5に加えて、・6のマイナンバーカードの保険証利用に「必要」な実績がある・マイナポータルの医療情報に基づいて患者からの健康相談に応じる | 30% |
加算③施設基準1~5に加えて、・6のマイナンバーカードの保険証利用に実績がある | 15% |
参考:医療DX推進体制整備加算等の要件の見直しについて | 厚生労働省
DX加算の届出方法
どのようにDX加算を申し込むべきなのかわからない方も多いはず。ここでは、「DX加算の届出方法」をお伝えします。
具体的な届出のプロセスは次のとおりです。
- 自院の地域における地方厚生(支)局の公式ホームページにアクセスする
- トップページ上部にある「申請等手続」から、医科や歯科、調剤など該当ページにアクセスする
- 一覧より書類をダウンロードする
- 書類を記載し、管轄の事務所に提出する
複数のDX施策を導入したうえで、書類をダウンロードし、漏れがないかチェックする必要があります。書類ができあがったらコピーをとって大切に保管しておきましょう。
医療DXを推進するメリット

そもそも、医療DXを推進することにはどういったメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットをいくつか紹介します。
- 患者の満足度が高まる
- スタッフの負担軽減につながる
- BCPを強化できる
- 人件費や間接コストが削減される
1. 患者の満足度が高まる
医療DXが進めば、患者の満足度も高まります。たとえば、電子カルテの導入によって情報の引き継ぎがスムーズになる、オンライン資格確認システムによって受付時間が短縮される、などです。
DX加算に直接関係はありませんが、医療DXのひとつに「オンライン診察」の施策もあります。これにより患者の待ち時間や通院時間を大幅に削減できます。医師不足が叫ばれている地域でも受診が可能になるでしょう。
2. スタッフの負担軽減につながる
医療DXでは受付やカルテの確認などさまざまな業務をデジタル化できるため、スタッフの負担が軽減されます。1つのシステムに患者の情報が集約されるため、見たい情報を探したり、後任に引き継いだりする手間も省けます。医師や看護師の労働時間短縮にもつながるでしょう。
3. BCPを強化できる
BCP(事業継続計画)とは、災害が起きた場合の対策内容を指します。たとえば、クラウドシステムを利用している場合、遠隔地のサーバーにデータが保管されるため、災害時のデータ消失リスクも低減可能です。
データを「紙」や「パソコン」に保存していた場合、火災が起こると消失してしまいます。バックアップも取れないためデータの復旧も困難です。しかし、クラウドに置き換えることで、こうしたリスクを抑制できます。
4. 人件費や間接コストが削減される
DX化でシステムを導入すれば、医療機関におけるバックオフィス業務が大幅に効率化されるため、人件費をはじめとしたコスト削減が可能です。
記録や計算が自動化されれば、これまで必要としていた「手作業」が不要に。残業時間も減るため人件費削減につながります。ほかにも、紙代や印刷代など事務作業に必要な間接コストも大幅に削減されるでしょう。

医療DXのデメリットと注意点

医療DXには多くのメリットがある反面、デメリットも存在します。とくに次の点には注意が必要です。
- セキュリティに懸念が残る
- 一定のITリテラシーが必要
- システムの利用料と教育工数がかかる
1. セキュリティに懸念が残る
医療業界を含めて、DX化では「インターネット」が必須です。データをクラウドで管理することも多いため、セキュリティに懸念が残ります。とくに医療機関ではセンシティブな情報を多く扱うので、セキュリティには細心の注意が必要です。
もちろん、ベンダー各社は強固なセキュリティ体制を構築していますが、情報をオンラインで管理する以上、漏えいリスクは拭えません。DX化を進める際は、検討するシステムのセキュリティ内容を確認する、情報を漏えいさせないためのマニュアルを完備するといった対策が必要です。
2. 一定のITリテラシーが必要
DXの失敗例として「システムを導入したけど使いこなせない」といったケースがあります。ITリテラシーが低いスタッフに無理やりシステムの利用を促しても、結局使いこなせずに終わってしまいます。これは経営者側の「教育のミス」です。
これまで紙で管理していたものをデジタルに置き換えるわけなので、システムの操作方法やセキュリティリスクについて教育する必要があります。
3. システムの利用料と教育工数がかかる
DX化にはシステムが必要であり、初期費用や月額利用料が発生します。システムによって料金形態は異なりますが、月間数万円〜数十万円がかかることも珍しくありません。
金銭面だけでなく、システムを定着させるための「教育」も不可欠です。院内全体のITリテラシーを高めるために一定の教育期間が必要といえます。ただ単にシステムを導入するだけでなく、定着させるためのコストや労力も踏まえたうえで導入しましょう。

「自院オリジナルのシステム」を開発すれば、さらにDXの効果を高められる

DX化では、「自院オリジナルのシステム」を作ることで、さらにDXの効果を高められます。膨大な情報を扱う医療業界においては、よりオリジナルシステムの必要性が高いです。
独自システムを作るメリットは?
- 「かゆいところに手が届く」システムを開発できる
- 状況に応じて仕様を変えられるので、コストをコントロールしやすい
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【まとめ】医療機関の利益向上のためにもDXは重要といえる
医療DXは、業務効率化や患者の満足度向上につながる重要な施策です。オンライン資格確認システムや電子カルテなど、一定の条件を満たすことで「加算対象」となり、診療報酬が増えます。ただし、算定要件や施設基準など条件が細かいため、自院がどこに当てはまるのか、どこを目指したいのか明確にすることが大切です。
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